◆つながっている環境
自然環境は、山から陸、陸から川・海へと連なるもので、どこかに手を加えればどこかにその影響が出てきます。たとえば、どこかで土砂を掘り返せば、その場所の環境が変わるだけでなく(一度消滅すれば自然回復はしない)、土砂が持ち込まれた場所の環境が変わります。瀬戸内海沿岸ではかつて豊富な海砂を採取して、コンクリートの材料にしたり、工場を建てる土地を造成する=埋め立てるために使われてきました。

埋立免許面積の推移(環瀬戸内海会議)
瀬戸内海の環境を保全するための法律「瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)」が改正された後でも、瀬戸内海沿岸での海砂採取は河口閉塞対策としては禁止されておらず、2023年度の海砂利の採取実績量が17千㎥であるのに対して、2024年度は25千㎥と増えています。また、環境への影響が軽微ならば埋め立てはしてもよいことになっています。

出典:せとうちネット

出所:せとうちネット
◆土砂の行先は? 基地は最大の環境破壊
土砂は軍備にも使われています。2013年、辺野古埋め立て用土砂を西日本各地からの採取・搬出するという計画が明らかになりました。この年の12月環瀬戸内海会議は沖縄県知事と環境・防衛両省に対して採取計画中止を申し入れましたが、その3日後、当時の仲井真沖縄県知事が辺野古の埋め立てを承認してしまったのです。そこで、2015年5月、環瀬戸内海会議と奄美大島の「自然と文化を守る奄美会議」が中心となり、「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」を発足させました。最初の活動として、2015年10月、土砂搬出に反対する署名5万2429人分を安倍首相あてに提出しました。
もともと辺野古埋め立ての2/3の土砂を奄美大島から搬出するという計画だったものが、2021年に設計変更があり、土砂は沖縄県内で調達することになりましたが、南部を中心とした遺骨混じりの土砂を使うことには大きな反対の声があがりました。2024年6月23日の沖縄慰霊の日に岸田前首相が地元に配慮が必要と表明、そこで奄美大島がターゲットになっています。土砂全協は全国に向けて署名活動を行いました
◆各地のグループとともに
現在、埋め立ては、空港開発、架橋開発、米軍・自衛隊基地の造成など、国策優先の事業として、また、有害廃棄物の不法投棄など、企業優先の事業として進められています。豊かな生活と引き換えに、安全・安心の名の下で開発が行われ、自然環境や住民の健康が損なわれる事態も繰り返し起こっています。
環瀬戸内海会議は、各地のグループとともに、数多くの環境問題に取り組んできました。広島県に海砂採取禁止の要望書を提出(森と水と土を守る会とともに)、岩国基地・滑走路沖合移設護岸工事に対して防衛施設庁へ抗議(ピースリンクとともに)、瀬戸内海35地点からのレポートをまとめた「住民のみた瀬戸内海」(トヨタ財団助成)を刊行、神戸空港を考える会とともにシンポを開催、小豆島内海湾での建設残土などの処分を目的とした埋め立て、広島県横島の人工干潟や愛媛県長浜町の小型船溜まりの造成、上関原発中間貯蔵施設計画に反対するなど、枚挙にいとまがありません。環瀬戸内海会議は、それぞれの活動を結びつけ、連帯した運動へと広げていく役割を担ってきました。
◆瀬戸内法改正プロジェクト~瀬戸内法50年プロジェクト
もう一つの取り組みの柱は、環境問題に関する法律の検証です。瀬戸内法制定から30年経過し、瀬戸内法が果たして環境保全に役立っているのかを検証するため、環瀬戸内海会議は1996年に「瀬戸内法改正プロジェクト」を立ち上げました。市民にアンケートを実施し(瀬戸内トラストニュース15号に結果が掲載されています)、市民による瀬戸内法改正試案を公表しました。そして、①産業廃棄物の持ち込み禁止、②海砂採取禁止、③埋め立て禁止、の3項目を瀬戸内法に明記するよう法改正を求めて、全国的な署名活動を展開、国会議員へのロビー活動も行いました。
2015年、自民・公明両党による改正案に押し切られた形になりましたが、付帯決議には、①埋立て等の無駄な予算のバラ播きを抑制する、②生物多様性の総括と調査・研究を行なう、③未利用埋立て地や既存施設の活用を新たな埋立てに優先させることも明記されました。2021年の改訂に際してもロビー活動を行い、埋め立てに関して、藻場・干潟等は水質の浄化、生物多様性の維持など環境の保全上の重要な機能があり、これらの保全、再生・創出に努め、未利用埋立て地は「自然の力を活かした磯浜の復元に努めることが付帯決議として明記されました。
さらに、瀬戸内法制定から50年を経過した2022年10月に、環瀬戸内海会議は「瀬戸内法50年プロジェクト」を立ち上げ、漁業に従事する人たちの意見を吸い上げ、「未来への提言」をまとめ、交通省、農林水産省の3省に提出しました。
