瀬戸内海の環境を考える上で,海の生物の経年的な変化の実態を知ることは極めて重要です。
 調べてみると公的な調査報告はほとんどなく,我が国最初の「海の環境法」の瀬戸内海環境保全特別措置法にも,生態系への言及はありません。
 唯一の調査は,広島県呉市の藤岡義隆さんが1960年から約50年間,呉市内の6つの定点で生物種類数を調査した「地点別・総種類数の年次変遷」です。これを見ると,生物が海の環境により変化する姿がくっきり分かります。

 瀬戸内海沿岸では60年代から工業開発で埋め立てが進み,海辺はコンクリート護岸になり自然海岸は激減,いつしか,人は海とへだてられてしまいました。
 市民が,素人でも海に親しみ,足元の海を見つめることが,瀬戸内海の環境を守る大きな力になると信じ,始めたのが海岸生物調査です。環瀬戸内海会議は,市民が素人でも気軽に参加できるように調査方法を工夫し,沿岸各地の市民や生協などの団体に協力を呼びかけ,2002年から調査を始めました。2003年から60~ 100カ所の沿岸各地で調査が行われました。現在は環瀬戸独自の調査数は減りましたが、呉市周辺をはじめとした調査を継続しています。

 調査は,毎年5月から10月,定点の潮間帯で大潮の干潮時に,岩礁帯(磯・岩場)ではカメノテとイボニシの個数,干潟ではアサリの個数をカウントし,他に誰でもわかるフジツボ,マガキ,アナアオサ,アマモ,ムラサキウニなどの生息を確認するものです。
 環境の急激な変化に生物は極めて敏感で,香川県豊島の産業廃棄物不法投棄現場でさえ,産廃から汚染水がしみ出るのが防がれると,アマモがよみがえり,アサリやカニが戻ってきました。

 海岸生物調査は,足元の海の状態を見つめる機会になります。しかも1~2回参加すれば,一人でもできる簡単な調査です。ぜひ未来を担う子どもたちとともに,年一回の調査を続けることをおすすめします。環瀬戸内海会議では,可能な限り各地の調査をサポートしていきます。事務局までご連絡をください。