
1980年代後半、バブル経済のさなか、「地域活性化」の大合唱の中、リゾート・ゴルフ場開発の波が過疎地に押し寄せました。その乱開発を止めようと瀬戸内沿岸11府県の市民・住民団体が手をつなぎ、1990年6月に結成されたのが環瀬戸内海会議です。環境破壊をもたらす開発に反対し、時には「村八分」にされながらも自らの農・林業にスタンスを置く現地住民を支援し、都市住民には開発の実態を知らせ、都市住民が支援の手を差しのべられる手法として考えたのが「立木トラスト」です。
明治時代にできた「立木二関スル法律」が法的根拠です。判例でも、立木一本一本に氏名を明記すれば、その人の承諾なしには立木を伐採してはならないとされ、法律も判例も今に生きています。
環瀬戸内海会議は、開発予定地内の地権者から立木を買い取り、立木所有者(オーナー)を募集し、1500円で購入してもらいます。その内、700円は地権者に立木の売買代金(立木管理費を含む)とし、100円は札かけ費用、残り700円は事務局費とオーナーヘの情報通信費になります。
一本一本にオーナーの氏名を明記した札をかけます。契約には,地権者もオーナーも立木の伐採や譲渡をしてはならない、開発が自紙撤回されれば、立本の所有権は地権者に戻すと明記しています。
これで、開発圧力にさらされている地元の開発反対住民への圧力を分散し、結果として開発業者は立木伐採ができず計画撤回。中止を余儀なくされます。
環瀬戸内海会議では90~94年にかけて1万本以上の立木トラストを実施し、24カ所のゴルフ場開発計画を中止に追い込みました。
バブル経済の崩壊とともにリゾート・ゴルフ場開発は鳴りを潜め、代わって産業廃棄物処分場、廃棄物中間処理施設やダム建設などの計画がすすめられたことから、これらに対する住民の反対運動を支援して立木トラストを実施してきました。ただ,「公共事業」として進められる巨大開発では、国の事業認可や土地収用に関して、その公共性・妥当性の判断を司法の場に委ねざるを得ず、立木トラストで計画を止めることは難しくなっています。
