瀬戸内海に持ち込まれる産業廃棄物で,一大社会問題となったのが香川・豊島事件です。
豊島総合観光開発が1975年に香川県に産業廃棄物処理業の許可申請をしたことに端を発し、地元行政が権限行使を怠る中で、悪質な事業者が13年間にわたって50万トンにも及ぶ膨大な量の産業廃棄物を豊島に不法に持ち込み,野焼きし,埋め立てられました。
1990年に兵庫県警の摘発により事業者は逮捕され,有罪が確定しましたが,産廃は残されたままとなってしまいました。


当初から反対した豊島住民の意向を無視し,ミミズ養殖業として許可した県は,事業者の違法性を認識しながら対応を怠ったばかりか,操業の停止を訴える住民の声を無視し事業者に加担したのです。
豊島住民は1993年に残された廃棄物の撤去を求めて公害調停を申し立て,延べ7000回を超える行動を通して2000年6月に調停が成立しました。香川県は過ちを認め豊島住民に謝罪し,2013年3月末までの撤去を計画しました。
しかし,当初67.4万トンとされた廃棄物等の総量がその後の見直しで93.8万トンに増えるなどでさらに4年程度の時間と,総事業費700億円という前代未聞の事業に膨れ上がりました。
2017年に廃棄物の完全撤去が完了しましたが、その後も汚染された地下水の浄化に時間を要し、2022年にようやく汚染地と海岸を仕切っていた遮水壁が撤去されました。


不法投棄があった現地は、いま、自然の力も借りながら、少しづつ復元に向かっています。砂浜や岩場にも生き物がみられるようになってきました。
しかし、現在も瀬戸内海沿岸では廃棄物処分場や海面埋め立ての計画が進められています。大量生産,大量消費,大量廃棄の社会構造を変えない限り,瀬戸内海へ持ち込まれる廃棄物問題は終わりません。
